第66回NHK杯全国高校放送コンテスト全国大会が7月22日(月)から25日(金)にかけて東京で開催されました。伊丹西高校放送メディア部はラジオドキュメント部門に参加しました。審査の結果、準決勝に進出し「入選」の表彰を受けました。
今回は全国大会での5日間の東京の日々の記録です。言っておきますが… 長いですよ。
7月22日(月)
8時30分にJR伊丹駅に集合! 3年生2人、2年生4人、1年生5人の11人の部員全員で東京に行くことになりました。
9時20分新大阪発ののぞみ118号でいざ東京へ!
硬すぎるアイスクリームにスプーンを折られたりしながらの楽しい新幹線の旅でした。
12時9分東京駅着。最終日に再集合する場所でもある丸ノ内南口改札の場所を確認してから秋葉原に山手線で移動。およそ3時間の自由研修です。
秋葉原はかつては世界有数の電気街、そして現在はアニメやゲームをはじめとした「サブカル」の聖地。まさに放送部御用達の街です。部員たちは大都会の喧騒に戸惑いながらも人混みに消えていきました。
顧問も自由行動…いやいや自由研修を満喫しました。
アイドルグッズのショップ「TRIO」で推しの生写真を大量購入してから、ガンダムカフェでタピオカの黒糖抹茶オーレを飲みながらガンダムの世界に浸っておりました。しかもこれが実はタピオカデビュー。
部員たちもメイドカフェに行ったり、アニメイトに行ったりとヲタ活を満喫したようです。
そして、いよいよ国立オリンピック記念青少年センターに移動!
全国の放送部員の聖地である通称「オリセン」は新宿から小田急に乗り換えて2駅の参宮橋駅の近くにあります。すぐ隣は代々木公園です。新宿や渋谷の近くだというのに自然に囲まれた都会のオアシスのような場所です。
この日の最大の目的である大会の出場受付をまず済ませ、朝昼夕の食事のお世話をしていただくカフェテリアふじで食券を受け取り、宿泊の受付を済ませます。
部員たちが宿泊室へと向かう中、顧問の私は審査員の会議に参加。そうなんです。顧問の私は創作テレビドラマ部門の準々決勝を担当するのです。このNHK杯全国高校放送コンテストは全国から集まってきた高校の顧問の先生が運営や審査を担当します。また、関東圏を中心とした数多くの高校の放送部員が運営補助員として参加しています。
夕食の後、ミント色の目立ちまくる西高オリジナルTシャツに着替えて兵庫県の研修会に参加しました。兵庫県の参加校はみんなオリセンに宿泊しています。そして、夜には個人部門と番組部門に分かれて研修・交流会を実施しています。
部員たちもそれぞれ番組と個人に分かれて研修会に参加しました。顧問の私は個人部門の主にアナウンス部門出場者にアドバイスをしておりました。
研修会後に部員全員でミーティングをして22時ごろにようやく1日が終わりました。この日はまだ梅雨明け前。外は弱い雨が降っていました。
7月23日(火)準々決勝
いよいよコンテストが幕を開けました。
伊丹西高校のラジオドキュメント「いつかの震災」はAブロックの9番でした。
ラジオドキュメント部門には各都道府県から4作品が出場します。
ただし参加校が100校を超える北海道と兵庫県は2倍の8作品が参加していますのでA~Dのブロックに49校が参加しています。
それぞれのブロックから10作品が選ばれ、全部で40作品が翌日の準決勝に進みます。
伊丹西高校は2年前と4年前にもラジオドキュメント部門に参加していますが、どちらも準決勝には進むことができませんでした。準決勝進出は伊丹西の念願でもあるのです。
顧問は創作テレビドラマ部門B会場の審査です。ラジオドキュメントと同様にこの部門も49作品を丸1日かけて審査をします。規定時間は1作品8分ですから順調に進んでも終了は18時ごろです。部員にトラブルが発生しても審査を離れることはできません。
そこで副顧問のS先生にこの日だけ東京に来てもらうことにしました。
なんとS先生には始発の新幹線で東京にやって来て夜の新幹線で帰るという強硬スケジュールで来てもらいました。先生になって1年目、もちろん放送部の大会も初経験という何もかもフレッシュなS先生。自分の目で全国大会を見てみたいというご本人の希望もあり、なんとか時間を調整して来てもらいました。
また、この日は2年前に卒業した36回生のほのちゃんも来てくれました。
4月から上京し声優事務所に所属しています。現在は事務所直属の養成所で学ぶ日々。その合間の時間を縫って後輩のためにかけつけてくれました。
午後に会場にかけつけてくれたほのちゃん。後輩たちと合流していくつかの会場で発表を見聞きしたようです。
さて、顧問が担当するテレビドラマの審査はディスクの再生不良がいくつかあるなど当初の予定よりも時間がかかりました。解散はすべての会場の中で一番遅い19時前…。時間はかかりましたが心をこめて誠実に審査をしました。
営業終了間近の夕食会場に滑り込みS先生とほのちゃんとも合流しました。しかし、それも束の間… S先生は伊丹へと帰ってしまいました。会えたのはほんの20分ほど(笑) 写真を撮る暇もありませんでした。
そして、この日も兵庫県の研修会に参加しました。ほのちゃんもOGとして参加して全国大会出場者へのアドバイスをしました。
養成所で学び始めて4カ月のほのちゃん。いろいろ悩み事もあるようでした。高校時代と同じようにいろいろ話をききました。先輩の姿に部員たちも刺激を受けたようでした。
7月24日(水)準決勝
8時40分に準決勝進出校が発表されます。決められた部屋に制作代表のきーちゃんの1人だけが発表用紙を受け取りに向かい、他の部員と顧問は外でその結果を待ちました。
数分後、オリセンのセンター棟から凄い勢いできーちゃんが走ってきました。
やりました! 準決勝進出決定です!
準決勝の番号は11番でした。およそ200作品の中から準決勝進出40作品に選ばれました!
きーちゃんは思わず涙ぐんでいます。自然と起きた拍手。興奮冷めやらぬ中、出場受付の指示をし、初めての準決勝に臨みました。
部員たちはそれぞれ興味のある分野に分かれて見学にいきました。顧問は午前はラジオドキュメント部門に参加しました。もちろん「いつかの震災」の発表を確認するために。さすがは準決勝です。作品は粒ぞろいでレベルは高いです。
「いつかの震災」の時間には部員たちも数多く集まってきました。そして、きーちゃんは立派にエントリー番号と作品名を告げる声を会場に響かせました。伊丹西高校が準決勝に名を連ねた瞬間です。歴史的な1日になりました。
午後には昨日に続いて先輩が訪ねてくれました。3年前に卒業した35回生のくるみんです。くるみんは専門学校を卒業し現在は大手声優事務所の81プロデュースに入り、現在は新作アニメ「アイドールズ」のキャストを決める大型オーディション「What 声 You?」のプロジェクトに参加しています。
顧問はくるみんと合流し朗読とテレビドラマを見ました。高3の時には朗読部門で全国大会にも出場したくるみん。昨日のほのちゃんと同様に高校時代を思い出して、大きな刺激を受けたようです。
夕食前に部員たちとも合流しました。まだアニメのモブキャラを演じた程度だというくるみんですが、その声優(の卵)としてのオーラに部員たちは圧倒されていました。
部員たちからサイン攻めにあったくるみん。こんなにサインを書いたことがない…と戸惑う姿を見て「これはどうしても売れなあかんな」とプレッシャーを与えておきました。
みなさん! ぜひ応援してあげてください!
ミーティングでは「いつかの震災」を聞いてくれた人からの感想や評判についての報告もありました。決勝進出予想作品に挙げてくれている人もいたそうです。
7月25日(木)決勝
いよいよ迎えた決勝の日! 早朝に決勝の会場であるNHKホールを目指して出発しました。
座席数に限りがあるため準決勝進出校に与えられるピンク色の「優先入場券」、大会参加校に配られる白色の「入場券」、空席があれば入場できる黄色の「入場補助券」の3種類の入場券があります。
「優先入場券」は2枚、「入場券」は4枚しかありません。顧問と制作代表のきーちゃんが「優先入場券」で入場。残りの4枚の「入場券」はジャンケン大会で奪い合いました。3年生は後輩たちに席を譲るためにジャンケンには参加しませんでしたよ。
そして、入場列に並んでいると「入場券」列に並んでいる4人がNHKの取材を受けていました。やはりミント色のTシャツが目立つのでしょう。テレビ的に「映える」のでしょうね。入場補助券で入るために県立伊丹高校と一緒に敷地外で待っている部員たちもNHKの取材を受けていました。8月中旬にEテレで放送される「ティーンズビデオ2019」でその様子が放送されるかもしれません。
「優先入場券」でGETした座席はなんと6列目の10・11番という神席。審査員席の近くでした。審査員の作家の湊かなえさんの座席… 思わず写真に撮っちゃいました。
しばらくすると「入場券」で会場入りした4人の姿が見えました。2階席の座席をGETしたようでした。開会まで時間があったので1階に降りてくるように促しました。
NHKホールは紅白歌合戦が毎年大晦日に開催される場所です。嵐が歌った舞台やで、と嵐ファンの1年生あんぼに話すといつも冷静なあんぼが興奮。ステージに触ったり、座ったり…。開会前の貴重なひと時を楽しんでいました。
入場補助券組もギリギリ間に合って3階席に入場できました。
そして、9時30分。決勝進出校の発表です。伊丹西高校の名前は…
ありませんでした。残念…。しかし、入選に選ばれました! 全国ベスト20です。
NHKホールのスクリーンに伊丹西高校の名前が映った歴史的瞬間… しっかりと目に焼き付けました。
昼休みにロビーで表彰状と記念の盾を受け取りました。受け取りの際にはきちんと拍手をしてもらいました。本当にありがとうございました!
今年のNコン企画は若者に人気の映像クリエイターのぶんけいさんがゲストでした。
ぶんけいさんは兵庫県淡路島の洲本高校出身です。高3の時には創作テレビドラマ部門で全国優勝をしています。ちなみにその年の準優勝は小野高校。決勝3校の内、2校が兵庫県だった年です。
YouTuberとして活動しているらしい… くらいの知識しかなかったのですが、ものすごい人気者に成長していました。全然そんな状況を知らなかったもので驚いてしまいました。このことは後でサプライズな出来事の伏線になりました。
大会終了後、NHKホール前で3年生の引退式を行いました。1・2年生はこっそり部員と顧問全員からのメッセージ入りの色紙を用意していました。心のこもったメッセージの交換の後、新部長の発表…
新部長は「純白の王子様」(誰もそうは呼んでいませんが)に決定しました。少し相談も受けましたが、基本的には3年の2人が何時間も話し合って決めました。これで放送メディア部も代替わりです。新たな体制でリスタートすることになりました。
ミーティングを終えたころにはNHKホール前には人影もまばらになってきました。NHKスタジオパークに移動を始めた時にぶんけいさんがいるのを部員が見つけました。黄色い声をあげて群がる部員たち。色紙を取りだしてサインをお願いしました。
するとぶんけいさんが私を見つけて「あっ、尾崎先生!」と声をかけてくれました。私にとっては高校生の時のイメージのままなので他校出身のよく知る卒業生として話をしていたら、部員たちが「先生、ぶんけいさんと普通に話してますね」と驚いてました。あとから彼のTwitterのフォロワー数を見て逆に私が驚きました。14万人って…。そんなすさまじい人気者やねんな…。すいません、私ごときが軽々しく声をかけて…。
そして、NHKスタジオパークの見学に行きました。コンテスト後の高いテンションとも相まってみんな楽しんでいました。東播磨高校さんもいらっしゃいました。ヒガハリさん、優勝おめでとうございます!
スタジオパーク見学後、公園通りのガストで夕食を食べてから渋谷で自由研修! それぞれ分かれていきましたが、実はこの1~2カ月の間に誕生日を迎えた3人の部員にサプライズを用意していたようです。オリセンに帰り、宿泊棟の談話室で誕生日会を行いました。
こうして長い1日が終わりました。
そんなわけで全国大会は終了しました。
たくさんの人の協力があったおかげで全国大会出場につながりました。また、部員全員で参加することができました。
心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
翌日の最終日の1日自由研修の日の報告は次の記事にて…
Comments